1. ホーム>
  2. 二眼入門>
  3. 二眼レフの使い方

二眼レフの使い方

ヤシカA二眼レフ初心者の方でも使いやすい赤窓式の「ヤシカA」を例に、操作方法や撮影の手順を説明してゆきます。

ヤシカA(Yashica-A・ヤシカフレックスAIII)概要
  • レンズ:ヤシコールもしくはヤシマー80mmF3.5
  • シャッター速度:B(バルブ)・25~300(分の1秒)
  • フイルム送り:赤窓式
  • 大きさ・重さ:H138×W77×D98mm 895g
  • ヤフーオークション相場:3000~8000円前後
    中古カメラ店相場:8000~20000円前後

ヤシカAは必要十分の機能があり、しっかりした作りで入門機としてはお勧めできます。無論ヤシカA以外にも、同等な機能を持った機種は多くあります。
微細な違いはありますが、大半の赤窓式普及二眼レフはこのページの説明の流れで使用可能です。
中級機・高級機などは赤窓式の操作手順と少々異なりますが、説明文への補足としてでフイルム装填や操作方法を追記しています。

カメラにフイルムを入れる準備

裏蓋ロック解除二眼レフは、ただフイルムを入れただけでは撮影できる状態になりません。撮影が出来る状態にするには少々の段取りが必要です。決して難しい作法ではないので確認しながらやってみましょう。

先ず、カメラの裏蓋を開けてフイルムを入れます。
カメラの底にあるダイヤルを赤い矢印「O」の方向に回すとロック金具が前進し、カメラ前面のピンから金具が外れることで裏蓋を開けることが出来ます。

フイルムを入れた後は、蓋を閉じてからダイヤルを「C」の方向に回しロックしておきます。ロック金具の先端部分が、本体前面のピンにしっかり掛かっているか確認しながらダイヤルを回します。

機種によってロック方式の違いや上側から裏蓋を開けるもの、中枠を取り出してフイルム装填する機種などもあります。

スプールの移し替え裏蓋を開けたとき、写真のように底側にスプールが入っていたら上側に移し変えておきます。
スプールは外側の軸受けノブで固定されていますので、ノブを外側に引いてからスプールを外します。上側の軸受けには突起があるので、スプール側の切り欠きの溝を合わせて入れます。

フイルムを箱と遮光用の袋から取り出し、緩み止めの紙テープを切りカメラの底側に入れます。フイルムを入れる際の向きには注意が必要です。次の「その2」の画像を参照してください。

ミノルタオートコードプリモフレックスオートマットなど、上にフイルムを入れて下側に巻いて行く機種も少数あります。

フイルム装填の手順

フイルム装填裏紙の差込フイルムの紙の部分を少しずつ引き出して、上側のスプールの溝に先端の折れている部分を差し込み、差し込んだ部分が抜けないように注意しながら巻き上げノブを回します。
差し込み部分を指で押さえながら、ゆっくり巻き取ってゆくのがコツです。

フイルムの裏紙が曲がって巻かれていないか必ず確認して下さい。紙の左右が大きくヘリに乗り上げていないかをチェックします。スプールに2周くらい巻いておけば裏紙が抜けてしまうことはありませんので、裏蓋を閉じて開けた時と逆の手順でロックします。

裏紙の先端が抜けなくなったのを確認した後、底部のフイルムに指の腹などでテンションを掛けながら巻いておくと、最初の巻きに緩みが出なくなります。ただし、強く押さえ過ぎるのは禁物。

赤窓表示裏蓋にある赤窓のシャッターを開けて、巻き上げノブを回してゆきます。最初は「まだかな?」と不安になるくらい巻き上げることになりますので、赤窓に「↓」のマークが出て来るまでどんどん巻いて下さい。
矢印マークを過ぎて「1」が出てきたら窓の中央に「1」を合わせて止めます。「1」はただの線のようにも見えるので要注意。また、「どんどん巻いて」とは言え逆回しで戻すことは出来ませんので勢いに乗り過ぎないように。1が見える状態で赤窓のシャッターを閉じてフイルム装填は完了です。

窓の中に数字が見える程度の巻きすぎなら、次以降も同じくらいの位置で止めることによって、コマの重なりは回避できます。

赤窓での巻き上げは、1枚撮影するごとにシャッターを開けて、次の番号まで巻き上げるということを「12」の撮影が終わるまで繰り返します。
遮光用の裏紙(上の写真では黄色)がありますが、シャッターを開けている時はなるべく赤窓に光が当たらないようにして下さい。背面に赤窓が複数ある場合は、中央の窓を使用します。

フイルム装填・カウンターリセットの

スタートマーク合わせ背面や底部に赤窓の無い「スタートマーク合わせ式のカメラ」は、指定位置(フイルム室内にある赤点や三角形の指標・写真右)にフイルム裏紙に印刷されている矢印(スタートマーク)が合うところまで巻き上げて裏蓋を閉じます。

赤窓巻き上げと同様、1cm程度の巻き過ぎなら全く支障はありません。昔と現在のフイルム自体の厚みや裏紙の違いによってコマ間が狭くなる場合、スタートマークを僅かに進めておく方法で改善することも。

一般的なカウンター自動復元の機種は、裏蓋を閉じた後そのままノブやクランクが止まるまで巻き上げればカウンターに「1」が出て撮影状態になります。

カウンターリセット巻き上げノブ付近にスライドボタンなどのある機種は裏蓋を閉じた後、巻上げよりも先に手動でカウンターをリセットしなくてはいけません。
リセットの手順は、ノブ中央のボタンを押し込みながら平ボタンをスライドさせ、カウンターに「S」や「◎」を出します(右下写真)。その後、ノブが止まるまで巻き上げれば撮影状態となります。

スライドさせる平ボタンは、指掛りが悪く動作も重い場合があるので爪の怪我などには要注意。

底部に赤窓のある機種(ローライコード2プリモフレックス2など)は、赤窓に「1」を出せばフイルムは1枚目の正規位置にあるので、上記のリセット操作でカウンターに「1」が出て撮影状態となります。
こういった巻き上げノブ内にボタンがある機種は、1枚撮影するごとに同ボタンを押して「巻き止め(ロック)」を解除してフイルムの巻き上げ操作を行います。また、カウンターの自動復元については「買い方」のページにも記載があります。

Page Top

撮影の手順 その1

まず撮りたいもの(被写体)を見つけたら、ピントフードを引き起こしおおよその構図を決めます。
次に被写体の光線状況などを見てシャッター速度と絞り(露出)を合わせますが、ここでは「露出」とは何かの説明はいたしません。写真家・久門易氏のサイトなどで勉強してみてください。

日中屋外晴天での撮影なら、感度(ISO)100のフイルムでシャッター速度1/100~1/300秒、絞り8~11程度で概ね良い結果が得られると思います。最初は露出の許容範囲が広いネガフイルムを使用すると良いでしょう。

シャッターチャージ数値を合わせたら、シャッターをチャージ(充填)します。
チャージレバーをロックされるところまで押し下げればチャージ完了です(写真右の赤い矢印)。カメラによっては、カチッと手応えがあった後、レバーが元の位置に戻る機種も。

右の画像ではシャッター速度(左二枚)1/300秒、絞り(右端)はF8にセットされています。
シャッター速度の単位が「100・300」の刻みではなく、「125・250」や「200・400」といったものもありますが、機械式シャッターの精度の問題もあるため、さほど神経質になる必要はありません。先ずは近似値で撮影してみてください。絞りについても同様です。

巻上げ操作と連動して、自動的にシャッターチャージがされる(セルフコッキング)機種もあります。

シャッター速度・絞りの配置や操作方法はカメラによって多くの仕様違いがあります。

ピントルーペ次にルーペを跳ね上げピントの確認をします。ルーペは、ピントフード前面中央付近を内側に押し込むと立ち上がり、ピントを合わせ終わったらルーペを手で元の位置まで押し込むとロックされます。
好みはありますが、ヤシカAのルーペは視野が広いのでルーペを出したままでの撮影も可能です。

また、ピントルーペを跳ね上げる際に押し込んだ前板を、更に押し込むとロックが掛かるようになっています。背面から覗くことでアイレベルファインダーとして利用可能です。
ただし、目の高さで撮影が可能になりますが、ピント合わせは目測となりフレーミングもややアバウトです。
アイレベルファインダーのロック解除は、ピントフード背面の小さなボタンで行います。

Page Top

撮影の手順 その2

ピント合わせピント合わせは側面のピントノブを回して行います。
ルーペを覗きながらピントを合わせたい場所が、スクリーン上で最もはっきり見える位置に合わせて下さい。「ピントが合っているかな?」というところで、少しずつ前後させてみると正確な位置が掴みやすいと思います。

ピントを∞(無限遠・最も遠く)に合わせた時にレンズが一番手前に下がり(写真上)、3.3ft(最短撮影距離)に合わせると最も前方に移動します(同下)。

ピント合わせの操作は側面のノブで行う機種が最も一般的ですが、前面下側や左右にレバーがあるものやレンズを直接回転させるものなど様々です。

ピントが合ったら、構図を確認しながらブレに注意して静かにシャッターボタンを押します。その際チャージレバーが元の位置に戻りますので、指などが触れないように注意してください。戻る動作を妨げると、正確なシャッター速度が出なくなります。

構図確認・ピント合わせ・露出合わせの順番は、「こうでなくてはいけない」というものはありません。
私個人としては、被写体を探している段階でおおよその露出をセットしておき、被写体を見つけたら先に露出の微調整、その後に構図の確認をしてピント合わせを行うといった手順ですが、その時々の状況によって異なる気もします。

撮影終了赤窓の数字で「12」まで撮影が終わったら、巻き上げノブを続けて回して裏紙の残りを巻き取ってゆきます。
途中で下側のスプールから裏紙が抜けた音が聞こえて抵抗が軽くなりますが、上側のスプールに全て巻き取られるまで巻き上げましょう。

全て巻き取り終わった後にフイルムを取り出さないで歩いていたりすると、振動で巻きが緩んで感光してしまう場合があるので注意。

ロックを解除して裏蓋を開け、右の写真の状態でスプール受けノブを外側に引っ張り、巻きが緩まないように注意してフイルムを取り出します。既に巻きが緩いようなら、指で締めなおしておきます。

裏紙の先端部分を内側に折り返し、固定用の紙テープで緩み止めをします。紙テープの裏側は、コダックのフイルムは切手と同じ糊付で、フジのものはシールになっているのが通常です。
この状態でフイルムへの光漏れはありませんが、念のため開封時の袋と箱に戻しておくと良いでしょう。

フイルムの取り出しや装填は、撮影の一区切り。周囲の邪魔にならないところで落ち着いて行いましょう。歩きながらのフイルム交換は事故の元です。
また、金属の缶に入っている35mmフイルムとは異なり、120フイルムは圧迫にも弱いので、撮影前・撮影後共に収納場所にはちょっと配慮を。

Page Top

二眼レフの構え方のイメージ

Flickrの画像を参考に、二眼レフの構え方のイメージ

この画像はCreative Commonsのライセンス表記に基づいて表示しています。

二眼レフ撮影のちょっとしたコツ

「折角撮った写真が何だかぼやけている」失敗の原因の多くは、ピントとブレにあります。

ピントはルーペを使って念入りに合わせましょう。ルーペ無しで合ってるように見えても、拡大して見ると合っていないことも多いものです。
それから、ピントを合わせた後はカメラを出来るだけ移動させないように。構図を選んでいるとついつい立ち位置も動いてしまうことがありますが、その場合はもう一度ピント合わせが必要です。

手ブレを防ぐには撮影者の体勢を安定させることが第一です。近くの木や電柱などを利用してブレを防ぐのも効果的です。「あれ?今のブレたかな?」と思ったら、もう一枚撮っておくのが良いでしょう。
また室内では明るく感じても実際の光量は少なく、シャッター速度を遅くすることで手ブレの可能性が高くなります。条件によっては、面倒でも三脚を使用した方が良いでしょう。

構え方は、ルーペをたたんだ状態ならカメラを保持している両手を出来るだけ体に付けるようにし、ルーペを出したままの撮影ならピントフード上部に額を付ける感じにすると安定します。

Page Top

撮影後の楽しみ方

一般的なカラーネガやリバーサル(ポジ・スライド)フイルムは、通常のカメラ店で現像に出すことが出来ます。
大きなチェーン店でなくても、その店舗内でブローニーネガフイルムの現像を行って、2時間程度で同時プリント可能というお店もまだまだあるようです。早い仕上がりを望むなら、探してみると良いかも知れません。
ただし、全てのコマをお店でのプリントとなると少々コストが掛かるのは仕方のないところ。

フイルムを取り込めるフラットベッドスキャナをお持ちなら、それを活用すると良いでしょう。フイルム専用のスキャナーは高価ですので、本格的な作品作りをする場合を除いて必要は無いと思います。
フラットベッドスキャナーの性能は大変向上してきており、必要なコマの選択にも非常に便利に使えます。これで良く撮れたカットを選んで、カメラ店にそのコマだけプリントしてもらうという方法もよいでしょう。

また、リバーサルフイルムを使ってライトボックスやプロジェクター(映写機)で鑑賞したり、カラーネガ現像の出来る(一般的なカメラ店で現像可能ということです)モノクロフイルムも発売されていますので、フイルムの選択によっても色々な楽しみ方ができます。
無論、白黒フイルム現像やプリントなどの暗室作業にチャレンジしてみるのも一興です。