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ミノルタオートコードの見分け方

はじめに

ミノルタオートコード初期型

ミノルタオートコードは、そのレンズ性能と操作性の良さから国産二眼レフの中ではトップクラスの人気を誇り、販売台数も多いため二眼レフ入門者からベテランにまで広く使われているカメラです。
生産期間が長く輸出仕様もあったため様々なモデルが存在しますが、基本仕様や性能に大差はありません。露出計装備モデルの発売や、1962年発売の新型から吊り金具の形状が特殊になり専用ストラップが必要になったこと。1965年発売のCDS型からレンズが新種ガラスを用いた通称「ニューロッコール」に変更された等が主です。

けれどやはり、自分のオートコードは何年の何型?と知りたくなるのが人情。そこでこのページでは、オートコード各モデルの見分け方と基本性能・変更点の詳細を掲載してゆきます。
オートコードの母体となったミノルタコードと、ミノルタコード・オートマットについても最後の一覧に記載し、輸出向けモデルは類似する国内モデルの中で紹介しています。

なおこのコンテンツは、メールでオートコードについてお問い合わせくださった方に触発されて制作に至りました。その件につきまして、この場を借りて御礼申し上げます。

ご注意いただきたいこと

まず、私は二眼レフ研究家ではありません。無論公開する以上出来るだけの確認をして記載していますが、例外の固体や勘違い・間違いがあるかも知れません。特に輸出向けにはシャッター違いのバリエーションが多く、全てを網羅することは出来ません。
文中特に指定が無いローマ字表記は、大文字・小文字の分類をせず記載しています。

また、メーカーで初期型・L型をマルチフォーマットのRA型に近づける改造を行っており、後期型の吊り金具を汎用に交換したものも多くあるようです。判別困難なモデルも多々存在するかと思われますのでご了承ください。

先ず確認するべきこと

前期型・後期型ネームプレート

ヤシカフレックスの見分け方同様に、先ず見るべきはネームプレートです。外観もロゴも似ていますが、「Minoltacord」と「Minoltacord AUTOMAT」を取りあえず除外できます。
オートコードを大まかに言えば、「Minolta AUTOCORD」(Mが大文字)のロゴが楕円で囲まれているのが前期型(画像上側)。「minolta」(mが小文字)で楕円が割られているのが後期型(画像下側)となります。

ただし、CDS露出計を積んだ各モデルは後期型ですが、ネームプレート前面に測光部等がありこの条件に当てはまりません。ネームプレート前方に飛び出した部品が付いているものは、後期型と判別し先にお進みください。
以下、ヤシカフレックスの見分け方のような簡単ナビ?はありませんので、特徴・スペックにてご判断下さい。上の機種に記載した条件を再度記載はしていませんので、全機種通してお読みいただければと思います。

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オートコード以前のモデルのスペック・概要

ミノルタコード
ミノルタコード
1953年ミノルタフレックス2Bの下位機種として発売。
テイクレンズ下の振り子式ピントレバーとクランク巻上げを採用し、操作性の評判の良さを受けて改良されオートコードに至る。ビューレンズはテイクレンズよりも若干明るいプロマーF3.2。セルフコッキングではなく、テイクレンズは3枚構成のプロマーSIII。
ピントフードは、ミノルタフレックスのモデルチェンジに合わせて変更されたようでバリエーションがあり、シャッターも国内向けは1/300までのシチズンと1/500までのセイコーシャ・ラピッド、輸出仕様でオプティパーMXS・1/400のモデルがある。
更なる詳細はミノルタコードのカメラページ参照。
ミノルタコード・オートマット
1955年発売。この機種はオートコードとほとんど遜色ない。ビューレンズはロッコール75mmF3.2、テイクレンズは上位機種ミノルタフレックスに採用されていた4枚構成のロッコールに変更。レンズ銘は「Chiyoko Rokkor」。セルフコッキング化や上下Bay1バヨネット・ダルマ型カバーの採用、そしてフイルムの平面性を安定させる「上→下」のフイルム送り方式も当機から。
無印オートコードとの機構上の差異は、シャッターが1/300まででビューレンズ上部の絞り・シャッター表示窓は無いこと等。生産期間が短いため数は多くない。

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オートコード前期型各モデルの特徴・スペック・概要

オートコード初期型(無印)
前期型・後期型距離指標
1955年、オートマット発売から僅か8ヶ月での登場。シャッターはシチズンMXV(~1/400)。
ビューレンズ上部の絞り・シャッター速度確認小窓を追加し、ダルマ型カバーを白塗装化(オートマットは黒)するなど小変更とも言える。途中からスクリーンにセンターマットのフレネルレンズを採用。
振り子式ピントレバーの距離指標は、国内向けがメートル表記で輸出向けにはメートル・フィートが混在するが、いずれもどちらか単独のみの表記。後期型はメートル・フィートの併記(画像上:初期型 下:後期型)。
輸出モデルに1/500のセイコーシャMXシャッター付きと、1/400までのOptiper銘シャッターあり。
L型
無印とほぼ同時の発売。セレン式露出計装備モデル。ネームプレート跳ね上げで受光部が現れ、向かって右に張り出す露出計のLV数値の見方はやや特殊。シャッターはセイコーシャラピッドで1/500まで。
RA型
1957年末発売。120フイルムで通常の6×6の他、マスクを使用し4×4・4×5も巻き止め対応で撮影可能としたモデル。クランク側の側面釣り金具下にマルチフォーマット用カウンターがあり、ピントグラスに各フォーマット用のライン入り(マスク式との資料もあるが、実機複数確認済み)。
シャッターは初期型と同じMXV。上記2機の改造受付のため、純粋なRAは短命の可能性も。
RG型
1961年発売。千代田光学とミノルタの2つの時代で生産されたため、ピントフードロゴ・レンズ銘は「Chiyoko」と「Minolta」の両方がある。シャッターはシチズンMVL~1/500で、輸出用はOptiper銘。後期1型との実質的な機構・性能差は無く、吊り金具やロゴの変更のみのようだ。
LII・RB型(未発売)
「Minolta」(Mが大文字)でネームプレート(LIIはプレート受光部上)の楕円は分断。上下レンズ間に絞り・シャッターダイヤルがありビューレンズはF2.8、クランクの形状やピントフードのデザインも一新。露出計装備モデルがLII型で露出計無しがRB型。レンズは5枚構成のものも準備されていたらしい。
しかし1958年末、発表済みだったLII型は突如お蔵入りに。ミノルタスカイから遅れること1年でのこと。一般に販売はされなかったようだが、RBが国内オークションに流出したこともある。

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オートコード後期型各モデルの特徴・スペック・概要

1型(新型)
ビューレンズコーティング
62年発売。千代田光学からミノルタに社名変更したため、レンズ銘も「Minolta Rokkor」に変更。ピントフードの逆三角ロゴは無くなり、吊り金具は専用品に(3型の画像参照)。シャッターはRGと同じシチズンMVLで最終モデルまで継承。
ビューレンズのコーティングが青になり(画像参照・前期型はアンバー)、ピントレバー部の距離指標がメートル・フィート併記式に(初期型画像参照)。前期型では2から始まっていたテイクレンズ番号が1からになる。二眼里程標掲載機はこのモデルがベースだが、多数パーツが換えられており資料としては不適。
65年頃から220フイルムに対応した輸出機があり、オートコード24もしくはオートコード2型と呼ばれる。クランク基部とカウンター台座部分とが繋がっており、13枚目にレバーでカウンターをリセットする仕様。
CDS型
65年発売で、ネームプレート部分に飛び出す形でCDS露出計受光部と電池室が付く。メーター部分は向かって右側面に配置。このモデルから、高分散・低屈折の新種ガラスを使ったニューロッコールレンズとなる。
3型
3型カウンター・ストラップ金具
65年末発売。輸出向けに先行発売されていたオートコード24の国内向け判だが、13枚目でリセットしていたカウンターが1-24まで連続するようになっている。
12-24切り替えはダイヤル式で、カウンターと共にクランク側側面吊り金具下にある(画像参照)。切り替えベース部分は、クランク基部の円と段差がある。その他諸元変更無し。
70年代に入ってCDS3型が先にカタログ落ちし、3型がミノルタ最後の二眼レフとなった。生産完了後、ユーザーの強い要望で少数が再生産されたのは有名。
12-24カウンターの無いモデルでも「3型」と称する人があるが、間違いであり「1型(新型)」が正解。
CDS3型
3型と同時発売。国内向けと輸出向けとがあり、輸出向けをCDS2型もしくはCDS24と呼ぶ場合も。3型にCDS露出計を装備したもので、国内外の差異も3型と同じ。露出計の配置・形状はCDS型と同じ。