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Rocca Automatic

80mmF2.8のレンズを搭載した西ドイツ・モンタナス製の二眼レフ、ロッカ・オートマチック。大口径のシュタインハイル・カッサーレンズを始め、独自の仕様・機構を盛り込んだ非常に特徴的なカメラである。カメラ名はスーパーレフレックス(Super Reflex)と呼ばれることも。
ロッカ・オートマチックはクランク巻上げ・セルフコッキングの仕様だが、ノブ巻き上げで二重露光防止機構の付いた赤窓式のモデルもある。レンズバリエーションには、同スペックでローデンシュトック・トリナー(Trinar)もラインナップする。

真っ先に目に付くのは、ピントフード前面のハーフミラーであろう。「ROCCA」の名称はこのハーフミラーの部分にのみ記載されており、ウルトラフレックス(Ultraflex)銘のもの等もあるが、基本的に中身は同じもののようである。ただ透視式のアイレベルファインダーは、視野中央にカメラ名が書かれていることもあり見え方も実用性もあまり良好とは言えないものだ。
このピントフードはワンタッチで着脱が可能であるが、装着可能なアクセサリーが用意されていたかなどは不明。スクリーンの実測は50mm×50mm程度で視野率は少々低めとなっている。
筐体にはプラスチックが多用されており、ゴロっとした外観の割には軽量な仕上がりだ。ただ、残念ながらカメラの作りが良好とは言えず高級感もやや乏しい。

仕様はクランク巻き上げ・セルフコッキングであるが、ロッカの操作方法はやや特殊である。
フイルム装填は裏紙の1を底部の赤窓で確認し、カウンターを0に合わせて一枚巻き上げることで完了する。そのため底部赤窓は、6x9用ではなく6x6用の数字を見られる中央にある。右側面上の巻上げノブは、可倒式のつまみを立てることで自由にフイルムを巻き上げることが可能となるので、フイルム装填時のみに使用し撮影時はつまみを寝かせ本体側に押し込んでおく。また、カメラの幅を抑えるためかスプール固定ノブは左右共に引き出せる方式。
シャッターはプロンターのSVSで、最高速は1/300秒。大口径のカッサーレンズを考えると、もう少し高速側が欲しいケースもあるだろう。シャッターレリーズは右側面上部のレバー式で、これもちょっと特殊だ。
ピント合わせは、左側面のC字型のスライド式レバーの操作で上下レンズが連動して回転する仕組みだが、この操作はやや微調整がし辛く感じる。赤窓式のロッカは、この部分にストロークの長いチャージレバーがあり、ピント合わせは上部のダイヤルを用いる。

ロッカのピント合わせやシャッターレバーの位置を見ると、戦前の二眼レフではあるが同じドイツ製のアルティフレックスの影響を受けているのではないかと思える。アルティフレックスもまた、トリナーとカッサーのレンズバリエーションがあり、一部モデルには光学式の透視ファインダーもあったカメラだ。

ロッカ オートマチック オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
Montanus モンタナス 西ドイツ 1954年頃
ビューレンズ
Steinheil Munchen Cassar 80/2.8
シュタインハイル・ミュンヘン カッサー
テイクレンズ
Steinheil Munchen Cassar 80/2.8
シュタインハイル・ミュンヘン カッサー
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
2.8~22 10枚 3.3ft
フード取り付け
40mmねじ込み式 42mm被せ式
シャッター
Prontor SVS B・1・2・5・10・25・50・100・300
シャッターチャージ
巻き上げ連動式(セルフコッキング)
レリーズ
右側面上部レバー 押し下げ式
巻き上げ 巻き止め
右側面クランク 1枚目手前のみ赤窓 以降自動
ピント合わせ
左側面レバー
スクリーン 視差補正
通常 補助線縦横各1本 補正無し
内面反射対策
凹凸板
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H136×W80×D104mm 980g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • テイクレンズ・絞り指標周りビューレンズ上部巻き上げクランク
    [左]大口径のカッサーレンズ [中央]ビューレンズ上部に距離表示と被写界深度指標 [右]クランクはつまみ部分も可倒式ではない仕様
  • シャッターレバー・カウンター周りピントレバー・シャッター速度指標
    [左]カウンター下に表示切り替え用ダイヤル 前側にあるのがシャッターレバー 吊り金具も外観は特殊だ [右]左側面C字型の可倒式ピントレバー
  • フイルム室内カメラ底部ピントルーペ・アルバダファインダー
    [左]フイルム室内の内面反射対策凹凸板 [中央]底部赤窓は中央でシャッター付 シンクロソケットも底部 [右]ルーペの視野は狭く出したままスクリーン全体の確認は困難 アイレベルのハーフミラーは特徴的

管理人の

モンタナスのトラウマから積極的に探していなかったロッカですが、非常に細かなギミックを組み込んだ面白いカメラに仕上がっていて、巻き上げクランクも右斜め下向きが定位置です。
ただ80mmF2.8レンズ搭載ながら高級という使用感ではなく、レンズも三枚構成で中級機の位置付けでしょう。
ほぼ同機構・同レンズスペックの製品に、同じ西ドイツのローロップ・オートマチックがありますが、細部も含め共通する部品はほとんど無いようです。ローロップのレンズはエンナミュンヘン・エニット、ロッカはローデンシュトック・トリナーとシュタインハイル・カッサーで、構成枚数もコーティングも異なる全く別のレンズです。
あまり見かけない機種ですが、アルミと思われるエッジ部分の傷や変形腐食がやや多いので外観チェックは念入りに。カメラ内部もプラスチックですので、フイルム室内壁の割れや破損も注意が必要です。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★★
  • 使いやすさ…★★★☆
  • 見つけやすさ…★★