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Tower Reflex

タワーブランドというのはアメリカのシアーズローバックが販売の際に用いたもので、掲載機タワーレフレックスのベースモデルは日本製の二眼レフで、テイクレンズには藤田光学製と思われるフジター80mmが搭載されている。

以下、現状判っていることと推測を含めての記載となるが、ベースモデルはほぼ確実に東郷堂産業のトヨカフレックス(Toyocaflex)で、型番は恐らく1B(後期)型。上下レンズをつなぐ二種類の飾り板やシンクロソケット、ピントノブのデザイン・裏蓋ロック金具の形状などを総合的に判断して、ほぼ間違い無いと思われる。

当機は、テイクレンズに80mmF3.5のフジターレンズが使用されているのが大きな特徴。藤田光学は二眼レフを発売していないと思っていたのだが、調べてみると実際には2~3機種の発売があったようだ。しかし、私はそのフジタフレックス(Fujitaflex)自体がトヨカフレックスのOEMだったのではないかと思っている。
トヨカフレックスは、非常に多くのネーム違いを輸出向けを中心に生産していたようで、この件に関してはWEB上では最大規模の情報があるTLR Cameras Website東郷堂のページも参照していただきたい。

シャッター速度はスロー域の無い最高速1/300秒までのものであるが、実用上不足を感じることは無いだろう。スクリーンフレネルレンズ無しの通常のもので、赤い補助線が十字に入っているのが少々目についてしまう。
それからもうひとつ特徴的なのは、絞りがいわゆる「クビ絞り」であることだ。この形式の絞り指標は、二眼レフでは極めて少ないので特定の手掛かりとしては十分なものだろう。当機のフイルム装填方は赤窓式だが、フイルム室内にはスタートマーク合わせの指標が残っており上位機種からの筐体流用を思わせる。また、大半が同じ仕様ながら吊り金具がストレートのものや、ワルツフレックスベースのフジターレンズ付きなども複数確認済だ。
東郷堂産業とシアーズローバック、そして藤田光学。このタワーレフレックスは、何とも謎だらけのコラボレーションで生み出された二眼レフである。

タワーレフレックス オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
Sears Roebuck シアーズローバック (東郷堂産業?)
アメリカ (日本) 1957年頃?
ビューレンズ
Fujitar 80/3.5 フジター
テイクレンズ
Fujitar 80/3.5 フジター
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 9枚 3.5ft
フード取り付け
36mm被せ式
シャッター
無銘 B・25・50・100・300
シャッターチャージ
独立式
レリーズ
前面下ボタン 押し込み式
巻き上げ 巻き止め
右側面ノブ 赤窓式
ピント合わせ
右側面ノブ
スクリーン 視差補正
通常 補助線縦横各1本 補正なし
内面反射対策
無し
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H139×W77×D102mm 920g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • テイクレンズシャッター速度・絞り指標周り
    [左]テイクレンズのフジター [右]シャッター速度は4速+B 絞りも視認性は悪くない シャッターボタンは基部のリングを取り外して、バルナックライカ用のケーブルレリーズを使用可能
  • ピントノブ周りフイルム室内
    [左]ピント・巻き上げノブも一般的な仕様と表示 [右]フイルム室内に遮光バッフルは無いが、スタートマーク合わせ指標が残る
  • 圧板カメラ底部ピントルーペ
    [左]圧板形状 赤窓はどちらかと言えばオレンジ窓 [中央]裏蓋ロックは二重式 [右]ルーペの視野はスクリーン全体をカバー

管理人の

いやー、正直判りません…。折角ソリゴール終結宣言をしたと思ったら、タワーレフレックスの謎が出てきました。いや、徹底解明なんてしませんよ。判り次第ご報告はしますけど。
しかし、カメラの型番が判明せずというのは、二眼里程標始まって以来のことでやや無念。ベースモデル捜索はやれば出来ると思いますが、シアーズで用いられたであろう「タワーレフレックス○○」という型番の特定は、アメリカでの販売当時の広告等を探さなければかなり困難かと思われます。
カメラの機構自体は特に目立ったものは無く、唯一にして最大の特徴はフジターレンズという機種です。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★☆
  • 使いやすさ…★★☆
  • 見つけやすさ…★☆