Primoflex VA
東京光学製造、大沢商会販売の二眼レフブランド・プリモフレックス。プリモフレックスには多くのモデルがあり、最も人気のある機種はオートマットであろうが、最も特徴的な一台となれば掲載の5A型だろう。
当機はビューレンズにも絞り機構が導入された二眼レフなのだ。良し悪しはともかく、二眼レフ史上ビューレンズに絞りを装備したのは、戦前ドイツの木製フォーカルプレーンシャッター機・メントレット(Mentorett)と、レンズ交換式のマミヤCシリーズ用105mmDSレンズくらいのものだ。共に特殊な位置付けのカメラであり、通常機種としてはこのプリモフレックス5A型しかない。
ビューレンズの絞りは、レンズ外周のリングで操作する。上下の絞りはルールに従った場合連動して動作するが、ビュー側の絞りを開放にしておけば機構が無いものとして、普通にテイク側の絞り操作が可能。
詳しい操作方法はやや長くなってしまうので、掲示板の「二眼レフ情報・質問スレッド」レス番号87番に詳しく記載しているので参照願いたい。
「露出計不要の新機能」とまでうたったビューレンズの絞りは、面白い機構ではあるが実用上の恩恵が感じられるとは言い難い。実際、ほとんど反響が無かったということで次代オートマットへの採用は見送られている。
その他の機構も前モデル4A型から大幅な変更が施され、テイクレンズには新設計の4枚構成トプコールレンズを採用。テッサータイプのレンズは、2型のJ・シムラー以来。シャッターもレクタスから高級仕様の最高速1/500秒セイコーシャ・ラピッドに変更され、ひとクラス上のカメラへと大きく変貌を遂げている。
フイルム装填はスタートマーク合わせ式でシャッターチャージも手動と変更は無いながらも、上下レンズ間左右に絞り・シャッター速度ダイヤルを儲け、ビューレンズ上部で双方の数値確認が可能になった。それによってデザインの印象も大きく変わり、ピントノブの意匠も5A型に限ったものだ。
プリモフレックス5A オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
 - 東京光学(トプコン) 日本 1955年
 - ビューレンズ
 - Toko 75/3.2 トーコー
 - テイクレンズ
 - Topcor 75/3.5 トプコール
 - 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
 - 3.5~22 10枚 1m
 - フード取り付け
 - Bay1
 - シャッター
 - Sheikosha-Rapid B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
 - シャッターチャージ
 - 独立式
 - レリーズ
 - 前面下ボタン 押し込み式
 - 巻き上げ 巻き止め
 - 右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
 - ピント合わせ
 - 右側面ノブ
 - スクリーン 視差補正
 - 通常 フレネル センターマット 補助線縦横各1本 補正無し
 - 内面反射対策
 - 凹凸板
 - フイルム送り
 - 下→上
 - 実測サイズ 三脚ネジ
 - H138×W77×D98mm 1120g 小ネジ
 - データ表の見方
 
部分拡大画像&ポイント解説

[左]4枚構成のトプコールレンズ チャージレバーは左に移動 [右]裏蓋ロックはダイヤル式 シャッターボタンはリングを外して旧ニコン・バルナックライカ用の被せ式レリーズを取り付け可能 
[左]ビューレンズ上部にシャッター速度・絞り値を表示 外周リングでビューレンズの絞りを操作 [右]ピントリングはモダンなデザインに カウンターも自動リセット式 

[左]ビューレンズを絞った状態 [中央]フイルム室内の内面反射対策凹凸板 [右]ピントルーペは遮光性に配慮した視界の広いもの 

[左]被せ式レンズキャップ [中央]Bay1準拠のレンズキャップ [右]革ケース 
管理人の戯言
作りや操作感も非常に良好ですし、ビューレンズの絞りも深く考えずに元々無いものとすれば(?)非常にいいカメラです。が、中古市場ではほとんど見かけないのがネックの機種。絞り機構も、トーコーブライトでスクリーンは明るいのですから、深度確認などに上手く使えば面白いのかも知れません。
ピントフードが旧型同様、前面のスライドレバーを左右に動かしてルーペの立ち上げと透視ファインダーの跳ね上げをするのですが、個人的にはどうにも慣れない方法で。ルーペを上げようとしてるのに、透視ファインダーが開こうとしてルーペに引っかかるという状況が多発です…。しかしこの機構もまた、次代のオートマットでは綺麗さっぱりつるりんと無くなってますけれど。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★★
 - 使いやすさ…★★★☆
 - 見つけやすさ…★★
 
 





