1. ホーム>
  2. 二眼レフカメラ UVWXYZ>
  3. ゼノビアフレックスF2

Zenobiaflex FII

掲載機ゼノビアフレックスF2は、1956年ゼノビア光学より発売された二眼レフ。ゼノビア光学は元々岡田光学精機いう名称であったが、1951年に第一光学と改称してカメラの生産を本格化。55年に第一光学が倒産した後、ゼノビア光学として再興されたとのことだ。
第一光学時代の最盛期には400名を越える従業員がおり、自社でカメラ本体・レンズ・シャッターまで一貫生産していた国内の中堅カメラメーカーであった。

当機ゼノビアフレックスF2型はゼノビア光学になってからのモデルで、第一光学時代に販売していた2型の焦点距離75mmを77.5mmに変更したもの。レンズキャップにも、第一光学時代の「DOC」とゼノビア光学の「Z」マーク入りそれぞれがある。
資料が非常に乏しく実機もほとんど見かけないため、レンズ自体が新しく設計されたのか焦点距離の記載数値のみを変更したのかは不明(実際の焦点距離と記載値には許容誤差があるため)。

上下レンズにはBay1バヨネットを装備し、コーティングも1型ではブルー・シアン系だったものがパープル+アンバー系に変更されている。テイクレンズのネオ・ヘスパーは4枚構成のテッサータイプで、写りに関しては販売当時から定評があったものだ。
カメラの操作系はローライコードコピーであり、スタートマーク合わせ方式のフイルム装填を採用。フレネルレンズは装備していないものの、カウンターの自動リセットにフイルム室内の内面反射対策の遮光バッフルなどツボを押さえた構造となっている。テイクレンズ下のレバーでシャッターチャージ・レリーズを兼ねるのも、ローライコードに倣ったものだ。
ピントルーペは1型よりも遮光性に配慮した仕様に変更されており、視野はスクリーン全体を把握できる。

一度は再興したゼノビア光学だが1958年に倒産。資料等では、ビュー・テイクレンズ間にダイヤルを装備しクランク巻き上げとなったオートマットモデルの記載も見られるが、実機を見かけることはほぼ皆無。私もゼノビアフレックス・オートマットは世に出なかったのではないかと思っていたのだが、過日そのオートマットを入手したとして当サイト経由で連絡をいただき実機の画像も拝見させていただいた。
資料通りのローライフレックススタイルで、ビューレンズはネオ・ヘスパーF3.2、テイク側は同77.5mmF3.5。シャッターはゼノビアラピッド(ZENOBIA RAPID ハイフン無し)で、シリアルNo.もボディ・レンズ共に掲載機の続きのような数字で試作機然としたものではなかった。
無論、メーカー試作機等が流出するケースは今までもあったので、ゼノビアフレックス・オートマットが発売された証拠とはならないが、大変希少なカメラであることには間違いない。情報を提供いただいた方に感謝。

ゼノビアフレックスF2 オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
ゼノビア光学(第一光学) 日本 1956年
ビューレンズ
View Hesper 焦点距離未記載/3.2 ビューヘスパー
テイクレンズ
Neo-Hesper 77.5/3.5 ネオ・ヘスパー
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 10枚 1m
フード取り付け
Bay1
シャッター
Zenobia-Rapid B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
シャッターチャージ
独立式
レリーズ
前面下レバー スライド式 チャージ兼用
巻き上げ 巻き止め
右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
ピント合わせ
右側面ノブ
スクリーン 視差補正
通常 補助線縦横各2本 補正無し
内面反射対策
バッフル
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H137×W77×D98mm 960g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • テイクレンズ・絞り指標周りビューレンズ
    [左]テイクレンズ下にチャージ・レリーズ兼用のレバー シャッターボタンも大型 [右]フイルム室内には内面反射対策の遮光バッフル
  • シャッター速度指標周りカメラ底部
    [左]絞り・シャッター速度レバーの操作性も良好 [右]裏蓋ロックは二重式
  • ピントルーペレンズキャップ
    [左]ルーペは遮光性に配慮したもの [右]第一光学時代とゼノビア光学になってからのBay1準拠レンズキャップ

管理人の

オートマットモデルはさて置き、ゼノビアフレックスの1型はまま見かける機種ですが掲載の2型を見かける頻度はかなり少なめ。焦点距離の謎も深く、75mmの2型は二眼レフカメラ全書に掲載の写真が唯一の画像資料です。
第一光学時代の2型にも77.5mmモデルがあり、掲載機とはダルマカバーの印字の違いと、第一光学のものの背面に簡易露出表の金属プレートがあるくらいの差異しか見つかりません。
なおオートマットモデルは、吊り金具からピントノブまでパーツ単位で見てもかなり違う装いとなっています。今後見かける機会があるだろうかという希少度ですが…。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★★☆
  • 使いやすさ…★★★☆
  • 見つけやすさ…★☆ オートマット