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Beautyflex IIIS

国内の中堅メーカーであった太陽堂光機は、出色と言うほどではないものの特徴のある二眼レフを発売しており、掲載機ビューティフレックス3S型は開放3.1という珍しいF値のレンズを採用したモデル。F3.1という数値は、00番シャッターに付くギリギリの口径とのことだ。
3S型より5ヶ月ほど前に発売されたS型の筐体を流用しているようで、ネームプレートの赤い「III」の彫刻は、やや後付け感が漂う。ただ、S型では80mmだったレンズが75mmに変更されるなど、小手先のマイナーチェンジとは一線を隔した印象。

ビューティフレックス3Sは、国産二眼レフ全盛期ともいえる1954年の発売。フイルム装填はスタートマーク合わせ式で、カウンターの自動復元やフイルム室内の遮光バッフルも装備。前出の75mmF3.1中口径新レンズという実用十分なスペックでありながら、価格競争の激化からか18000円という安さで販売された。
当時の二眼レフ価格表を見ても、10000円台には様々な仕様のものが入り乱れており激戦区であったようだ。
カメラの作り自体は良好で、各部の操作感もソツの無い印象。ピントルーペの視野は広いが、フレネルレンズは装備しておらずビューレンズの明るさもテイクレンズと同じ3.1。若干ピントのピークは掴みづらい印象。
また、撮影に影響することではないが、何故か底部の脚が3本でありカメラ自体が転ぶことは無いにしろ安定感に欠けるのは気になる点だ。

ビューティ75mmF3.1レンズは、開放で撮影しても当時の輸出規格解像度をクリアした優秀なものとのこと。当機をベースにして、大口径80mmF2.8カンターレンズを組み込んだ2.8モデルもあるが短命に終わっている。
ピントフードには目を引く赤い七宝エンブレム。シャッターのベース部分と上下レンズのリングは黒とエッジのシルバーがアクセントとなり、口径の大きいレンズのアンバーコーティングも相まって、非常に引き締まった印象を与える二眼レフだ。

ビューティフレックス3S オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
太陽堂光機 日本 1954年
ビューレンズ
Beauty Viewer 75/3.1 ビューティ ビューアー
テイクレンズ
F.C Beauty 75/3.1 ビューティ
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.1~22 10枚 3.5ft
フード取り付け
36mm被せ式
シャッター
NKS-FB B・1・2・5・10・25・50・100・300
シャッターチャージ
独立式
レリーズ
前面下ボタン 押し込み式
巻き上げ 巻き止め
右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
ピント合わせ
右側面ノブ
スクリーン 視差補正
通常 補助線縦横各2本 補正無し
内面反射対策
バッフル 円筒
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H135×W76×D99mm 1025g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • シャッター速度指標周りフイルム室内
    [左]最高速1/300のNKS-FBシャッター レリーズは旧ニコン・バルナックライカ等の被せ式対応 [右]フイルム室内にはしっかりした遮光壁
  • 絞り指標周りピントフード・ネームプレートカメラ底部
    [左]絞り操作の指掛かりは悪くない 赤点はセルフタイマー [中央]エンブレムとIIIが際立つ [右]底部の3本脚 二重式ロックは一般的な仕様
  • ピントルーペレンズキャップ革ケース
    [左]ルーペの視野・倍率とも一般的なレベル [中央]黒塗り・プレスの被せ式レンズキャップ [右]革ケース

管理人の

とにかく、このビューティフレックス3Sはカッコイイのです。この辺はもう好みの問題でしょうが、本文中でも書いた中口径のアンバーコーティングとレンズ周りの黒とのコントラストに、D型同様ビューティフレックスの決め技の赤いエンブレム。いや私、そんなに病気でもないと思うのですがどうでしょう…?
ただ、残念ながら3S型を市場で見かける頻度は低め。当時の広告には、「御注文殺到で間に合いませんで申し訳なく云々」との文言があるのですが。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★★☆
  • 使いやすさ…★★★
  • 見つけやすさ…★★ S型★★☆